先輩、私だけに赤く染まって


握られている左手をキュッと掴み直した。


「私は先輩と一緒なら、どこだって良いです」


私の言葉に安堵したように見える先輩は、来た道を引き返しはじめた。


握られた手は繋がったまま。


後ろ姿を見ながら、しみじみとこの人が好きだと思う。


だからさっき先輩が素直に口にしてくれたこと、嬉しかったんだ。


嫉妬深いことを気にして私と距離を置きたがってた先輩がああ言ったってことは、少しずつだけど私たちは進んでる。


あんなの私にとっては愛しい以外の何物でもないんだけどな。


少し歩いて先輩が止まったのは関係者の駐車場だった。


その奥は土手になっていて、開けている。


「ここからでも結構見えるよ」