「私ならまだ歩けますよ。足も痛くないし」
慣れない下駄で歩けなくなって先輩に迷惑かけないようにちゃんと絆創膏も貼ってきたんだ。
「そうじゃなくてさ、あの子との思い出の場所に行きたくないって、言ってるんだけど」
若干言いにくそうに、だけど素直に言ってくれた先輩に、私は胸がキューッと締め付けられた。
私をこんなにときめかせて、一体どうしたいんだ。
確かに和樹と見た場所に連れるのはデリカシーなかったな。あまりにそこから見える花火が綺麗だったから、先輩にも見せたいと思ったんだ。
悪いのは私だと思いながらも、先輩がまだ私を想ってくれているのが分かって顔の緩みが止められない。



