私の心の内を読んだようにフォローする先輩の言葉に私は救われる。
無理やり来たんじゃないと分かっただけで、十分すぎるくらいだ。
「それなら良かったです。先輩はここのお祭りに来たことあるんですか?」
かき氷の屋台に並びながら、他愛もない話をする。
人が多くてぎゅぎゅうで、自然と私たちの距離は近まる。
照明がオレンジ色なことが救いだ。これなら顔色なんて分からない。
「ううん。杉野さんは?」
「私は…、」
和樹と来ました、そう言葉にするのをギリギリで抑える。
元カレと来た話なんて聞いて誰が面白いか。居もしない私の先輩以外の恋の相手に、殺してやりたいなんて思ってしまう先輩なら余計に。



