「よー、お姉ちゃん。さっきから一人だよね」
早瀬先輩かもしれないと、顔を上げた私に声をかけたのはチャラそうな男二人組だった。
「あれ、泣いてんの?彼氏にでもすっぽかされた?」
明らかにナンパ目的でお祭りに来たような人たち。
最悪。こんな男たちに絡まれるなんて。
「人を待ってるので」
弱みなんて見せたくなくて、強がってそう言う。
その待ち人が来ないのはこの人たちにもバレバレのようだけど、コイツらと回るくらいなら一人でいたほうがずっと良い。
「そんなこと言わないでさ、俺らと遊ぼうよ。お姉ちゃんめっちゃ可愛いね」
よく言う。下心が丸見えだ。
取ってつけたように褒められたって着いて行くわけない。



