さっきまで隣に立っていた人が、友人と合流していなくなる。
向いにいた人も、彼女と腕を組んでお祭りの喧騒に消えていった。
周りの人は入れ替わって、楽しげに笑って行くのに。私だけはここに残されたまま。
いつの間にか約束の十九時はとうに過ぎていた。
先輩は私と来ない道を選んだのかもしれない。
その可能性も十分にあると分かっていたのに、いざその事実に突き付けられるとやっぱり辛い。
目頭が熱くなってきて、私はつい俯いた。
せっかく買ってもらったこの浴衣も無駄になってしまうかもしれない。
そうネガティブな気持ちになってきたとき。
浴衣で、一人きりで下を向いている惨めな私の前に誰か立ち止まるのが見えた。



