先輩、私だけに赤く染まって


「自分の気持ちが強すぎるから。それなのに相手にも同じだけ求めてしまう」


先輩の胸の中から顔を上げると、遠くを見つめていた。


声は静かで落ち着いているように見えるけど、それがかえって不安定に思えた。


「私を見て下さい」


私は先輩の顔を両手で掴んで、無理やりに向き合わせた。


先輩の瞳の中に自分が映る。確かに先輩は、私を見ていた。


「先輩は私がどれだけ先輩を好きか分かってない。それって簡単に言えば嫉妬深いってことですよね?そんなのむしろ嬉しいじゃないですか」


私の言葉にギョッとした顔をして、すぐに眉を潜めた。


重い息を吐きながら私から離れて近くにあったベンチに座ると、おいでと言うように私を見た。