先輩、私だけに赤く染まって


どうして止まってくれたのか分からないけど、今のうちに再び先輩に詰め寄る。


「先輩は私のこと、もうどうでもいいですか?」


私の言葉に先輩がバッと勢いよく顔を上げた。


「っそんなわけないだろ…!」


絞り出したように、だけど力強く心の内を吐き出す。


「俺がいくら君から離れようとしても、簡単に壁を壊してくる!今だって無防備に好きとか言って…、俺がどれだけ我慢していたか…!」


堰を切ったように言われるそれに、初めて先輩の激情を垣間見た気がした。


「だからどうして我慢しなきゃいけないんですか!好きならそれでいいじゃん!」


不倫でも禁じられた恋でもない。それなのに、どうしてこの恋情を無理に消そうとするのか。