先輩、私だけに赤く染まって


隣を盗み見ると、先輩は腰を曲げて項垂れていた。


それが女の子の所為なのか、私の所為なのかは分からない。


「あの…ありがとうございました。なんだか気持ち良かったです」


素直な気持ちを口にすると、伏せていた身体を急に起こして、信じられないものを見るかのような顔でこちらを見た。


「はっ!?」


見開かれた目と、先輩らしくない大声。


先輩がこんなに声を荒げるの、初めてかもしれない。


「君、なんてこと言うの…!絶対にそれ感覚間違ってるから!」


何をそんなに慌てているんだろう。


首まで赤くなっているのが分かる。


「何のことですか?」


「き、気持ち良かった…とか変なこと言うなよ。もっと別の言い方あるだろ」