先輩、私だけに赤く染まって


戸惑っているようだったのに、抱き締める力はこんなに強い。


分かんないよ、先輩。どうしたって期待してしまいそうになる。


何を思っているのか、先輩が深く吐いた息が私の耳に触れる。


その瞬間、ゾクゾクとした何かが私の背中を駆け巡った。


何これ、ハグってこんなにドキドキするものなの。


うるさく鼓動する心臓の音だけが耳に響く。


だけど触れている場所から先輩も鼓動が速くなっているのを感じた。


私だけじゃない。先輩も余裕ないんだ。


熱い。熱に浮かされたみたいに何も考えられない。


時間の流れが分からなくなる。一体何分が経ったんだろう。


もしかしたら三分も経っていないかもしれない。


だけど永遠にも感じられる。