先輩、私だけに赤く染まって


「もうほんとに…、傷付いたんですからね。私今日頑張ったのに」


とっくにショックな気持ちは回復していたけど、わざとらしいほどションボリしてみせる。


私の言葉に困ればいいんだ。


今の時間だけは、先輩は私だけを見てくれるから。


「うん、杉野さんは凄い。またミルクティーでも買ってこようか?」


再び私の方を向いていた先輩は、機嫌を取るようにニコニコしていた。


先輩の中で私はすっかりミルクティー好きが定着してしまったな。


だけど今の私はミルクティーなんかより、もっと別のものを欲していた。


この胸の高ぶりを抑えられそうにない。


どうしてなのか、妙に今日は不安定だ。