先輩、私だけに赤く染まって


先輩の反応が怖い。


こんな過去を持ってる女だったんだって、引かれていたら。


隣に座っている先輩の顔が見れない。


でも、私の前に顔を合わせた先輩はジッと目を見つめ、柔らかく両手で私の頭を撫でた。


突然のことに目を見開いたまま、逸らすことが出来ない。


慈愛に溢れた優しい顔。


「話してくれてありがとう」


あれ、ダメだ私。涙で視界が揺れる。


もう平気になったつもりだったんだけどな。


先輩の指が涙を拭ってくれる。


先輩の優しさに触れて心が弱くなってしまったかもしれない。


「杉野さんが素直な良い子だって俺は知ってるよ。だから大丈夫。今までよく頑張ったね」


優しく掛けてくれる声が枯れた心に水を与えてくれる。