先輩、私だけに赤く染まって


恋愛こそ縁が遠かったものの、友人関係に恵まれて凄く充実した日々を送っていた。


二年生になってからは先輩にも出会えたし。


「それなのに、今年になって急に和樹が私の前に現れるようになって。今更私と話したいって」


話こそ親から聞くことはあったけど、実物を見るのはほぼ一年ぶりだった。


対面して話したのはもっと久しぶりだ。


忘れたわけじゃないけど、あのときの悲しみや痛みが風化されつつあったのも事実だった。


だから余計に姿を見たくなかったのに。


「多分香織と別れたんじゃないかなって思うんですけど。そこからはまあ、先輩の知る通りです」


全てを話し終えた私は喉がカラカラに乾いていた。