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その夜は久々に嫌な夢を見た。


きっと昨日和樹と関わった所為。


もう今は誰もいない放課後。


私は一人、早瀬先輩を待っていた。


二年前の出来事を誰にも話したことがないから、上手く話せるか分からない。


だけど、思ったよりも今の私は落ち着いていた。


「杉野さん、お待たせ」


鞄を手に訪れた先輩は、私の隣の席に座る。


クラスメートの男子なら何とも思わないその距離が、早瀬先輩だとなんだか緊張する。


図書室で話しているときは図書当番という口実があるから周りの目を気にしなくてもよかったけど


放課後の教室に先輩と二人きり、というのが小っ恥ずかしい。