「おはよう、お母さん」
「おはよう〜。寝れた?」
「うん、寝れた。璃叶は?」
「学校だよ〜?」
「お仕事は?」
「スタジオのブッキングあったらしくて、別日になったんだって」
「へぇ」


興味なさそうにうなづくと、スマホを取り出して、鏡替わり。
前髪を確認して俺を見上げる。


「そういえばさ。最近、瀬那のSNS自撮り少ないって琉星がお怒りだった気がする」
「あー……頑張る」


自撮りとか需要ないんじゃないかと思ってあんまりしてないんだけど。
それより働けって感じかと。


「まぁどうせ今日は全員で取るだろ?」
「5日ぶりの全員でのお仕事だからね。最近のレッスンみんな疲れ果ててたし、あんま写真撮ってないもんね」


知らないうちにスマホに視線を落としていた瑠南は右手でピアスを触りながら全力朝のおはよう投稿の文面を考えていた。


俺もSNSを開いて、今日最初の投稿を考える。
とは言ってもいつも適当に写真を探して単発一言『学校』か『レッスン』くらいしか投稿してない。