「瀬那、瑠南のことちゃんと絞っといてくれる〜?
私怒るの下手なんだわ」
「わかった。って言うか言われなくてもそのつもり。本気で正面突破する気だったなら俺だって止めてたよあんなの」


バカじゃねーの、と呟いて窓の外を見つめる瀬那。
お怒りモードだ。


「瀬那ー、そんな怒んなって」
「怒るだろ。2週間後にはデモ作っときたいんだって」


短気は損気だよ、なんて言ったら殺されそうな雰囲気してるからそのあとの会話を続けることはなかった。


俺と深優は2人で俺の家に送り届けてもらって、去っていくなすちゃんの車を見届ける。


2人になると唐突に感じる、深優に他の男の影。


「深優」
「んー?」
「蒔唯と配信すんのやめね?」


家の鍵を開けて、深優を連れ込む。
何もない玄関の端に靴を並べて、俺の部屋に上がる。
今日は親は2人とも夜勤らしい。