「瀬那、大丈夫?」
「大丈夫じゃない……もう2度としない」


琉星はなんだかんだ嬉しそうに笑ってて、少し腹が立つ。


「ごめんね、瀬那。怒んないで?」
「俺もごめん、お前のその感じがパワーアップしてると思ってなかった」


琉星は苦笑いでカメラを回している。
多分、マシな感じに編集してあげるつもりなんだと思う。……いや無理だろ流石にこれは。


どさくさに紛れて、澪は徐に瑠南の腕を引く。
中学生なだけあって、まだ瑠南よりチビ。


「あの……連絡先、あげます」
「へ……」
「いらない、ですか?」


しゅんとしたわんこ。
瑠南は硬直する。


じっと見つめ合う2人。


……これで受け取ったら、今度は俺が瑠南を潰すことになるんだけど。


「……えっ、ダメだと思う。
連絡先貰っちゃったらオタクっていうのが崩れちゃう気がする。えっ、私はオタクとして遠くから見守りますありがとう。
今度のサイン会当たったので行きます」
「あ、いや……開場する前に来てくださいね?」


……こっちの結果は単純に嬉しかったけど。



この後2人がカメラを持ってはけてから、瑠南のごめんなさいの連呼、からの食われたのはまた別の話。


── ─番外編・Fin