可愛い、ほんとに。
ヤキモチ妬かせたいわけじゃないけど、妬いたら妬いたで可愛くてどうしようもない。


俺は瑠南のあごに手を添えて無理やり俺の方をむかせる。


「……何」


ヘッドホンを外して、俺のことをうわ目遣いで見つめてくる。


「いや?可愛いなって」
「……可愛くない、うざい」


出れば?、とつけたして、左手で俺の手をぺっぺと振り払うとパソコンの方に視線を戻す。


機嫌わる。
テンション低。


俺は瑠南の椅子を無理矢理回して、唇を奪う。


「なっ、ん……」


触れた唇から、瑠南愛用の薬用リップの香りと、刺激。


「色気ねーな」
「……仕方ないじゃん、そんな不意打ちあると思ってなかったし。たまのオフだし、ケアって大事なんだよ?」
「まぁ……」


さっきより機嫌良さげにヘッドホンをつけ直す瑠南。
単純なとことかも可愛い。


ルンルン気分の瑠南の隣で俺も作業を始める。
いつヘッドホン外しても嬉しそうな鼻歌ばっかで、ほんとにインスト作ってんのか不安になったけども。