今は電車で帰宅中。


「家どうだった?」


瀬那と、2人で。


「綺麗だったよ、ほんと。洗面台3つ並んでた。お風呂2箇所あったし」
「すげ」
「レコーディングもレッスンもしっかり出来そうだし、収納スペースめっちゃあった」
「よかったじゃん」
「衣装とか、メイク道具とかいっぱい仕舞えそう」


ドアにもたれて都会のビルを眺めながら小声で話す。
夕陽がさして少し暑い。
奥の方に見える海に夕陽が反射してなお暑い。


「メイク最悪だな」
「朝から直してないもん。そっちはしっかりしちゃってずるいよね」
「撮影帰りだったからな」


アイライン引いてある……。
誰に引いてもらったんだろう。
自分で引けないくせに、メイクさんかな?
……ちょっとやだな。


「瑠南、睫毛ついてる」
「取って」
「目瞑ってみ?」