「……言って、あげないの？」
「婚約者がいるくらいで諦められるようなら、快斗に私はいらないもん」


深優はスマホの中の蒔唯との会話を見せる。


「快斗、私のスマホは見るくせに、こいつとのやりとりだけは絶対に見ないの。
こんな会話してても絶対気付かない」


快斗に対して厳しいことを言いつつも、非情にはならないらしい。というか、自分の感情には勝てないっていうか。


ヒントばらまいて、快斗に告白させようとしてるのがよくわかる。


『最近快斗とどう？』
『無理無理、蒔唯のこと敵だと思ってるもん』
『アイドルが恋愛も婚約もクソもあるかっての』
『熱愛報道されてたくせに？』
『あれガチのやつだから内緒にしといて？笑』


ここまでしてもなお、気づかない快斗はただのバカのように思う。
ていうか、バカだった。


「ていうか、そっちこそ。毎日一緒に寝てるみたいだけど何かあったりするんでしょ？」
「え、別に何もないよ？」
「……エッチとか」
「ないよ」
「キスとか」
「……ないよ？」
「あるな？」
「……寝てる瀬那に私が勝手にした」