「それ7月のやつだよね?」
「そーだな」
「音源完成の納期って1週間後だけど」
「もうすぐできるから、あとはデモと楽器の録音にどれくらい時間かかるか」
「俺ら覚えなきゃなんないしねー」


琉星とうわ言みたいにそんな会話をしながら、ほぼ完成間近の曲を見つめる。
……最後どうやって終わるかな。


「最後ワンフレーズ落として終わったら」


余韻残す系の、と言って座る瑠南を追い払ってピアノの前に立つ。
メロディー案3つ、ポンポン出てくるあたり、感覚が怖い。


「1つ目、かな」
「1つ目なら、2個上の方がいいよ、流れ的には」
「深優が歌ってくれんなら1上ぐらいの方が」


そこから30分くらい真面目に悩んで、とりあえず曲が完成した頃には午後一の授業は始まっていて、めちゃくちゃに怒られた。