俺は膝の上から足元に荷物を置き換えると、瑠南の頭を置く。
割とデカめの乗用車だし、瑠南は小柄だし。
足を折り畳んだら普通に寝れてるのが怖い。


……ほんとに、俺を誘惑するのがうまいやつ。


俺はぼーっと窓の外を見る。2分後には規則的な寝息が聞こえてくる。


「瀬那も大変ね?」
「……そう思う?」
「割と幸せな限り?」
「まぁ、好いててくれてるのはこの先のことを考えてもありがたい」
「いつになったら、またラブラブな2人が見れるのかしらね」
「……」


渋滞で止まってしまった車にイライラしているのか、爪でトントンハンドルを叩きながら、ミラー越しに俺を見ているなすちゃん。


「瀬那のそれは、ゴールが見えないように、感じるんだけれど」
「……俺も、同じ意見」
「その誠実さは大事だけど、この場合、瑠南を傷つけているだけな気もする」
「……はぁー。俺、どーすりゃいいんだろーね」
「そのままの瀬那が、好きだったんじゃないの?」


……そのままの、俺。