恩を仇で返しやがって。
俺なりに励まそうと、気を使った結果だったはずなのに。まぁ、いいけどさ。
瑠南が元気なら、なんだって。


「んーっ、疲れた」


スッキリした表情で笑う瑠南。
いつもはバッチリ決めているメイクも、今日は時間がないからかすっぴん。


毎日家で見てるのに、なんだか新鮮な感じがする。


ぱっちり二重に、マスカラ塗ってるわけじゃないのに長い睫毛。
スッと通った鼻に、ナチュラルにピンク色の頬とか唇とか。
整った顔してるなーと、つくづく感じる。


「瀬那ー。眠い」
「お疲れ。寝ろ」
「労って……？」


瑠南は俺を上目がちに見つめて、申し訳なさそうな顔をする。
甘えたいときとか、よくやるやつ。


「何をご所望？」
「何だったら聞いてくれるの？」
「できることなら聞く」
「膝枕」
「へいへい」