「瀬那。……撮影、変じゃなかった？」


窓の外を見たまま、そう呟く瑠南。
モデルの仕事を苦手としている瑠南は今日の撮影の手応えは割となかったらしい。


「良かったと思うけど」


俺としては最悪だったけど。
仕事としてはいつもより良かったように思う。
写真がどういう風に撮れているかは確認していないからわからないけれど、でも、いいとは思う。


「ほんとに？なら、良かった」


いつもテンションが高い瑠南もモデルの仕事の後はいつも比較的静か。


「……可愛かったよ」


下心とかない、ただ、励ましたかっただけ。
……下心が1ミリもないって言ったら、嘘になるかもだけど。


「そっ、か。うん、ありがとう」


瑠南はかばんからメガネを取り出してかけると俺を見つめる。


「さっきの撮影中の瀬那はずーっとアホズラだったよ？」
「……お前なぁ」