「起きてる」
「そー?お昼からの撮影だった」


撮影?……あぁ、輝星との、か。


「はいよ」


タイミング……悪。
全部が全部。
輝星との撮影とか、瑠南がくるタイミングとか。


多分、寝ぼけた瑠南はその時の記憶が曖昧だから。
夢が現実かわからないで、ポロポロ本音こぼしてくれちゃってさ。
だから昨日のことも覚えていない。


気まずく感じているのは、俺だけ。


「はぁぁ……」


早く録音しちゃおう……。
どうせ昼から琉星が録音するし。
そうじゃなくても今日の夕方にはデモテープ提出だし。


俺は起き上がって首をバキバキと鳴らすと、顔を洗いに洗面所に向かった。


大人数が同時に使えるように3つ並んだ洗面台、一面に大きな鏡。


先客は1人。


「はよー」
「おはよ。顔白くね?」
「起きたばっかだからまだ血が回ってないんだよ〜……ふわぁ」