ぷくーっと口を膨らませて、俺の飲んでいた水に手を伸ばす瑠南。


歌番組の収録やら生放送があった日の夜は瑠南がマッサージをしてくれることになっている。
そのかわり瑠南は、琉星にマッサージしてもらっている。


「ふぅー。疲れたー」
「お疲れ」
「瀬那もお疲れ」


じーっと俺の宿題を覗き込んで、今日も字綺麗だね、と呟く。


「なんでここでしてるの?」
「部屋だとベッドの誘惑に負ける」
「あ、わかる。寝ちゃう」
「宿題やってんの?」
「んー?学校で休み時間とかに半分終わらせたけどあれだね。受講が全然間に合わなかったから、最近タブレットの充電が全く持たない」
「あー。俺も受講しなくちゃだ」


考えれば考えるほどだるい。
バカだるい。


「教えてあげようか。わかんなかったら言ってくれていいよ」


瑠南は俺の隣に腰掛けて、背筋伸ばしたまま、スマホを触り出す。


「あっ、教えてあげるから後でマッサージして欲しい」