笑って振り向く琉星に瀬那はムッとした声で言い返す。
……元からこんな声だったかな。


「作業中じゃなきゃ話は別だけど」
「はぁ?わけわかんないこと言ってないで作業しろ」


瀬那は壁にもたれて偉そうにそんな事を言う。
いやいやいやいや。
そんな上から言うなし。


「瀬那、用ないなら出て行きなよ。気が散る。
折角私がやる気出したんだからそれをへし折らないでくれる?」
「……はぁ、わかったよ」
「瑠南にはえらく従順だな」
「うっせ」

瀬那はベーっと舌を出してケンカを売ってそのまま部屋を出て行った。


……一体なんなんだ。
ほんとにもう。


私はヘッドフォンをつけ直すと作業を再開した。
聞きたくもない自分のハモリを編集する悲しみもわかって欲しいものだ。
まぁ。今回は結構綺麗にできてると思うけど。
わりかしましな方だ。


「琉星、こっちできた」
「俺もうちょい」


1時間以上たってようやく終わった編集作業に歓喜の伸びをしつつ、時計を振り返る。