「戻りましたー」


そう言って入ってきたのは琉星。


「あ、おかえり。準備しといたから」
「あ、ほんとに?サンキュ。あとはパソコンの細かい準備だけか」
「うん、してもらっていい?」
「もちろん」


私は琉星と一緒に録音室に戻る。


「イコライザなんだけどさ。この歌これでいいかな?」


椅子に座った琉星の後ろから画面を指差す。
琉星はうーん……と考え込んで、少し設定をいじり出した。

「…ん、こんなもんだろ。あとは、なすちゃんに聞いて後でかぶせればいいでしょ」
「そうだね、うん」


録音前の設定って……こんなところか。
あとはみんなが帰ってくるの待つだけ。


「で、瑠南」
「ん?何?」
「近いんだけど。そこまで近づかれると、流石の俺もテレる」


どうやら、知らないうちに私のお腹が琉星の背中に触れていたらしく、少し押し返される。