「なんでもっと早く起こしてくれなかったの!?」
「いや、10分前から起こしてたって」
「10分前でも遅いよっ、準備1時間かかるんだって」


瑠南は半泣きになりながらベシッと俺の腕を攻撃して部屋を出て行った。
……はぁ。
パーソナルスペースの狭い女だな、ほんと。
やめろよ、あんまり近づくと頭おかしい男はすぐ手ェ出そうとするんだから。
心配で、仕方ない。


ちらり、とベッドを振り返る。


部屋に残されたのは俺と、璃叶。
ゴロゴロと身体を動かす準備をし始めている璃叶。
瑠南がいなくなったら動き出すのは速い。


「せーなーくーんー」
「なに」
「起こしてー?」
「……へいへい」


俺はベッドに近づくと、手を伸ばした。


「ほら」


璃叶は俺の伸ばした腕を見つめて、それから俺の目を見て。
勢いよく俺の腕を引いた。