女王様の言うとおり

「奏、どうした?」


男の一人が真ん中のギャルへ向けて声をかける。


奏と呼ばれた女子生徒は金髪のフワフワパーマを肩まで垂らしている。


「どうかしたって……おかしいじゃん!」


奏は意外にも泣いてしまいそうな声でそう言った。


「おかしいってなにが?」


男子の方は全く理解できていない様子で、ただ首を傾げるばかりだ。


「あのギャルの子と男子って付き合ってるよね」


そんな声が聞こえてきて納得した。


どうやら大西さんに手を出した男には彼女がいたらしい。


この奏という子がそうみたいだ。


あたしは呆れてため息を吐きだした。


恋人がいるのに他の女子生徒に下心丸見えで声をかけるなんて、論外だ。


「あんた。ちょっとこっちに来なよ」


奏という少女は大西さんへ向き直り、華奢な手首を掴んだ。


大西さんはキョトンとした表情を浮かべて素直についていく。