女王様の言うとおり

CT検査と呼ばれるものをした後、あたしと両親は診察室に呼ばれた。


診察室の雰囲気は重々しく、医者はあたしを見た後ふくざつな表情を浮かべた。


「娘さんの脳はなにかによって浸食されています」


え……?


あたしは瞬きをして目の前の医者を見つめた。


白髪交じりの髪の毛が数本跳ねているのがわかった。


額には汗が滲んで浮かんでいる。


「もしかして、ガンですか?」


母親が身を乗り出して訊ねる。


「現段階では言い切れません。なにせ、見たことのないモヤが写っているもので……」


そう言い、医者は紺色のハンカチを額に押し当てて汗をぬぐった。


「見たことのないモヤですか……?」


父親が聞くと、医者は頷いた。


「とにかく、このまま入院していただきます。明日以降、詳しい検査をしていけたらと思います」


「入院!?」


あたしは思わず叫んでいた。


こんな時に入院なんてしていられない!


大西さんは今大切な状況なんだ。


あたしだけのんびり寝ていることなんてできない!