最近、やっとあったかくなってきた。

こういう季節になってくると、授業中すごく眠くなってくる。

真面目には受けてるつもりなのに...。

「先輩は、そういうときありません?」

昼休み。

屋上で先輩とご飯タイム。

先輩は、購買のパンをいくつか買って食べている。

美味しそう。

「俺はそもそも授業なんて真面目にきいてないから。」

「え、それでどうやっていい成績とるんですか?」

「俺は理解力が違うからな。
教科書か問題集でも見ればすぐに分かる。」

「へー、天才ですねー。」

「そんなことより...。
聞き捨てならねえな。今の話。」

先輩、なんか時代劇の怖い人みたいな言い方...。

「え、先輩...何がですか?」

「授業中、眠くなるって話。」

「だって仕方ないじゃないですか...。
ちょうど窓側の席なんです。日の光が当たって眠くなっちゃうんです。
先輩より授業態度はマシでしょ?一応聞こうとはしてるんですし。」

「そんな言い訳、俺には通じない。」

「え。」

「いいかげんにしろ。」

そこまで言う...?

「あの、先輩...。」


「授業中寝るなんて良い加減にしろ。
俺以外に寝顔なんて見せてんじゃねえよ。」


へ?

「先輩、今なんと?」

「俺、一度もお前の寝顔みたことないんだぞ。」

「はあ...。」

「それを、教師やクラスのやつはただで見られるわけだろう。」

「いやいやいや!
私の寝顔なんてわざわざ見る人いないですよ。」

「無意識にでも視界に入る可能性があるんだろ。それはフェアじゃない。」

ど、どういう心配...?

「先輩...一応大丈夫だと思います。」

「なんで?」

「私、寝るときは、腕でこう...顔見られない感じで寝るんで。」

「...。」

先輩、これで納得してくれたかな。

「でも、眠たいときはうつらうつらしてるわけだろ。」

そうきたかー。

「そんなこと言い出したら、キリがないと思うんですけど...。」

「お前ひとつ飛び級でもしてくんない?」

「無理です。日本に飛び級制度はありませんから。」

私がはっきりそう言うと、先輩はムッとした顔をして、私の頭をくしゃっとした。

「...やめいっ!」

「お前、やっぱ腹立つわ。」

って、言いながら先輩笑ってる。

先輩の怒りのツボがよく分かんないだけなんだけどな...。