極上御曹司は失恋OLを新妻に所望する



「あ、おばあちゃんならいないよ。お友達の家でお昼済ませて帰ってくるって言ってたから。夜までには戻ると思うけど」
「ああ。またゲートボールからの昼飯コースか」

ふっと笑った伊月が、ちゃぶ台の前に座る。

昨日と同じ位置に座った伊月は、おばあちゃんがいないとわかってもすぐには帰る気はないらしい。
うちのことを休憩所だとでも思っているんだろうか。

まぁでも、普段私はこの家にいないし、こうして伊月が顔を出してくれるのは防犯面でいったらありがたいのかもしれない。
日中は大地も学校だし、おばあちゃんをひとりきりにしておくよりはだいぶ安心できる。

なんだかんだ言ってもおばあちゃんも高齢に差し掛かってはいるし、健康面でも心配はある。いつ、突然具合が悪くなるかもわからない。

立場もしっかりわかっている上、この顔で、体つきだってガッシリしてる伊月がちょくちょく顔を出してくれるのなら、ボディガードとしてはこれ以上ないしおばあちゃんになにかあったとしても気付いてくれる。

なにがよくてうちに顔を出してくれるのかは知らないけれど助かるな、とひとり考えながら冷蔵庫を開けた。
コップに氷を入れてから、そこにアイスコーヒーを注ぐとパキパキと音が鳴り、耳にも見た目にも涼しい。

「はい」とちゃぶ台に置きながら聞く。

「牛乳は入れる?」
「いや、このままでいい。ありがとな」

伊月はお礼を言ってからそれを口に運んだ。