朝おばあちゃんが干していた洗濯物を畳み、そこに三枚のシーツと枕カバーを干して、縁側からパタパタとはためく白いシーツを眺めると、自然とふぅ、とため息が出た。

夏は洗濯物がすぐに乾いてくれるから助かる。洗濯機を一日三回くらい回しても乾きそうだ。

……それにしても暑いな。背中を、すーっと汗が流れていく。体どころか頭まで汗をかいていて気持ちが悪い。

どうせ時間はあるんだし、お風呂掃除のついでにシャワーでも浴びよう。
真夏に家事をひと通りこなすって、結構な運動だ。

「やっぱり、明日からは早起きして洗濯物は私が干そう」

せめて帰省している間くらい、おばあちゃん孝行したい。
そう決心しながら、縁側の窓をしっかりと閉める。

そして、他の戸締りも確認してから、お風呂掃除を済ませ、シャワーをゆっくりと浴びて居間に戻ると、時間は十四時。微妙な時間だ。

「お昼は……まぁ、いいか」

今食べても夕飯が食べられなくなってしまうかもしれないし……と思い、昼食を諦めて、髪をタオルで拭きながら、さっき閉めた窓を今度は開けて回る。

ひとり暮らしをしているアパートだと、開けたり閉めたりする窓も一、二ヶ所で済むけれど、一軒家ってなるとその倍以上になり、せっかく流した汗がまた浮かんできそうだった。

縁側に、キッチン、玄関脇……と回っていたところで、玄関の引き戸が、ガ……ッと音を立てるからビクッと肩が跳ねた。

鍵のかかっている引き戸を無理やり開けようとしたような音に驚いて目を向けると、細工の施された擦りガラスの向こう側に大きな影が動いていた。