昨日、お風呂に入るときに気付いたのだけれど、知らないうちに乾燥機能付きの洗濯機に変わっていたから、操作に少し手こずりながらもセットした。

それからキッチン周りの掃除を済ませ、柱や棚、畳、縁側、階段を拭き掃除して、ひと息つこうと時計を見ればお昼すぎだった。
ずいぶん、夢中になってしまったみたいで自分自身に驚く。

この家は広いから掃除を済ませるだけでこんなに時間がかかるのか……と感心しながら、手洗いした雑巾を洗濯物が干してある竿の一番端っこに洗濯バサミで止める。

そして、縁側から部屋に上がったとき、電話が鳴った。
テレビ台に置いてある電話を取ると、すぐに『つぐみ? おばあちゃんだけど』という声が聞こえてくる。

「うん。どうかした?」
『あのね、広末さんにお昼、お呼ばれすることになったんだけど、つぐみひとりでお昼大丈夫かしら、と思って』

「大丈夫だよ。パンとか適当に食べるし」
『そう? じゃあそうしてもらっていいかしら。広末さんち、スーパーの近くだから、おばあちゃん夕飯の買い物して帰るから、冷蔵庫に入ってるもの食べつくしちゃっても大丈夫よ』

スーパーの近くってことは、この家から歩いて十分くらいか……と考えながら苦笑いをこぼした。

「そこまでお腹空いてないから大丈夫。帰り、気を付けてね。あと、買いすぎないようにね。荷物がいっぱいになっちゃうと大変だから」

『あんたは大地と同じこと言うのねぇ』

クスクスという笑い声が『じゃあ、夕方には帰るからね』と告げ、電話が切れる。
私も受話器を戻してから、ひとつ背伸びをして……そういえば、と洗濯機に入れたままのシーツを思い出す。