「そりゃあ、イベントはあまり好きじゃないって言うから、クリスマスとかバレンタインを一緒に過ごしたことはなかったけど……でも、社会人にもなれば平日なら普通に仕事だしそういうものだとも思ったし……」
「あー……それはあれだな。おまえにはイベント嫌いだとか嘘ついて、実は本命と過ごしてたパターン」
「そうねぇ。本命に浮気疑われないように、イベント事でしっかりケアしてたのかもねぇ」
伊月とおばあちゃんに言われ……ぐっと言葉に詰まっていると「相手の家には行ったことなかったのか?」と伊月が聞くから、目を伏せながら答える。
「行ったことはなかったけど、それだって別に……人を家に呼ぶのは好きじゃないって言ってたからそれ以上は追及してない。私も自分の部屋に来られるのは落ち着かないから、基本的に外で食事とかが多かった感じで……」
どう考えても三股なんて……本命彼女がいて私が浮気相手だなんて疑う余地はなかった。
そう自信を持っていたはずなのに……伊月とおばあちゃんに話せば話すほど、実は気付けるタイミングなんていくらでもあったんじゃないかと思えてきてしまい、声がどんどん弱気になってしまっていた。
そんな私に追い打ちをかけるように、伊月とおばあちゃんが口々に言う。
ふたりとも呆れているような笑みを浮かべていた。



