それに、ドアホンを手配してくれたのは伊月だ。
このおはぎだけでお礼になるとは思っていないけれど、伊月が食べたいと言っていたのならせめて届けるくらいのことはしたい。
駅近くにある伊月の会社に向かいながら、おばあちゃんと話していたことを考える。
『仕事なんか、どこでだって見つかるもの。こっちに戻ってきて少しのんびりしてから探せばいいじゃない。つぐみはずっと走りっぱなしだし、そういう時間だって必要よ』
仕事の相談なんて一度もしたことはなかったから、おばあちゃんの言葉には驚いた。
なにか勘づかれるような態度を私がとっていたのかもしれない。
別に、職場自体には不満はない。
けれど、毎日三時間は残業しないと回らない仕事量だとか、それなのにほぼつかない残業手当だとか、最初は仕方ないと片付けていたものが、ここ一年は引っかかったまま片付けられなくなった。
喉に刺さった魚の小骨みたいにずっと違和感がある状態だ。
時給九百円で働くパートさんよりも給料が低いと知ったときには愕然として、そこから疑問を抱き続けている。
なにも職場で私だけが薄給なわけではないし、同僚や上司に嫌な人もいないしな……と、思いとどまっていたけれど、今くらいの給料なら探せば見つかりそうだし、本気で転職を考えてみてもいいのかもしれない。



