歯切れ悪く呟いた私に、おばあちゃんは「だから、自分の気持ちを抑えつけなくていいの」と言い切った。
あまりにハッキリと言うものだから、「ありがとう」というタイミングが遅れてしまった。
【もうすぐ帰っちゃうんだね。よければその前に会えないかな】
高田さんから届いたメッセージをそのまま閉じてから、はぁっとため息を落とす。
暦の上ではもう秋といってもいい時期なのに、見上げてそこにあるのはまだ夏色をした空だった。
スカイブルーの空は気持ちまで晴れるみたいだけど、暑さがその邪魔をするように出しゃばっている。
不快なほどの暑さを少しでも忘れられるようにという、空の粋なはからいだとしたら残念ながら間違えている。
できたら抜けるような青空の下に、分厚い雲を用意してほしかった。
午後のじわじわと焼けるような日差しを日傘越しにも感じながら、重たいバッグを肩にかけ直した。中にはおばあちゃん特性のおはぎが入っている。
出来上がったばかりのおはぎを伊月に差し入れると言い出したのはおばあちゃんだ。
以前、なにかの流れでおはぎの話になったとき、食べたいと伊月が言っていたのを覚えていたらしい。
『はい、これ。よろしく伝えてね』と笑顔で渡されてしまえば、休暇中で暇な私は断るわけにはいかない。



