極上御曹司は失恋OLを新妻に所望する



「そもそも、おばあちゃんはつぐみに、自由なお金を使ってもっと若者らしく好き勝手遊んで欲しかったのよ。それなのにつぐみは毎月真面目に仕送りを入れてくれて……あれじゃあ、遊びたくたって遊ぶだけのお金が手元に残らないじゃない。だったら、戻ってきてここで暮らした方がまだつぐみが自由になれるんじゃないかと思って」

私が仕送りしている金額なんて、たいした額じゃない。
それに、育ててもらったのだから働いている以上お金を入れるのは当然だ。

でも、そう言うとおばあちゃんは「本当に真面目なんだから」と笑った。

「仕事なんか、どこでだって見つかるもの。こっちに戻ってきて少しのんびりしてから探せばいいじゃない。つぐみはずっと走りっぱなしだし、そういう時間だって必要よ」

突然の言葉に驚いていると、おばあちゃんはそんな私を見て目を細める。

「一度くらい思い切り立ち止まったっていいし、好きなもののために突っ走ったっていいのよ。おばあちゃんはつぐみにそういう生き方をしてほしいの」

「でも……」と、つい声が出たのは、不安が頭をよぎったからだ。

だって、私の母親は好きなものを追いかけてそのまま出て行ってしまった。そんな母親の血を引いている私が自分の好きになんて生きたら……やっぱり夢中になるあまり大事なものを捨ててしまうかもしれない。

そのことにすら、気付けない自分になってしまうかもしれない。

そんな不安から目を伏せた私を、おばあちゃんが笑う。

「大丈夫よ。つぐみはあの子とは違うんだから。たとえ同じ境遇になったとしても、ひとが違えば結末だって変わるものよ」
「それは……まぁ、そうかもしれないけど」