そんなだから、人並みに彼氏もいたけれど、いつだって相手に入れ込み過ぎないようにしていたし、不安を紛らわすように、私自身も勉強や、仕事、自分の生活を基本に置いていた。
毎日連絡を取り合ったりもしないし、会うのだって週に一度程度で充分。ベタベタした関係は望まないし束縛もしない。自分のことは自分でしていたし、頼ったこともなかった。
だって、面倒がられてしまう。
……だからなのか。そんなさっぱりとした付き合い方をしていたから、だから――。
「でも、だってまさか思わないよ。あっちから告白してきたのに三股なんて、普通疑わないし、騙してるなんて思わないでしょ?」
訴えかけるようにして見つめると、伊月とその隣に座るおばあちゃんは同意はできないといった風に苦笑いを浮かべた。
あのあと、すぐ帰ってきたおばあちゃんは私を見るなり驚いた顔をして、『あらぁ、つぐみ、どうしたの、急に』なんて聞いてくるから、事情を話した。
昔から、おばあちゃんとの間に隠し事なんてない。
だから、二年も付き合っていた相手が三股でそれを思わぬ形でカミングアウトされたこと。やたらと愛を語ってくるロマンチストだったこと。
それなのに、そういえば〝浮気〟という単語がでるとビクビクしていた気がする……というようなことを全部話すと、伊月とおばあちゃんが渋い顔をしたから、『でも、だって』と言い訳みたいな言葉が飛び出してしまったというわけだった。



