極上御曹司は失恋OLを新妻に所望する



気を遣わせないように、なんて考えていたらあんなことまずしない。
だから言うと、おばあちゃんは〝わかっていない〟とでも言いたそうに、小さなため息をつく。

「あんなの相手が悪いんだから当然じゃない。それに、相手がそもそもケンカ腰なら、誰だって手ぐらい出るし暴言だって吐くでしょう」

……そうだろうか。
私自身がその通りなだけに強くは言えないけれど、なんとなく違う気もして納得できない。

でも、身の回りの人間で考えてみても……おばあちゃんも大地も伊月も、ついでに言えば佳乃さえ、みんなして手が出る気がするし、暴言だったら確実に出る。

それだけに結局なにも言えずにいると、おばあちゃんが「そういうことじゃないのよ」と話す。

「ツラいならツラいって言うとか、泣きたかったら素直に泣くとか、そういうこと。つぐみはどうしても負の感情が上手に出せないから」

「そんなこと……」
〝ない〟と言う前に「あるのよ」と言い切られる。

「そういう、弱い部分含めて、全部を見せられる相手と一緒になってくれたら、おばあちゃんも安心できるのに。このままじゃおばあちゃん、つぐみを放っておけなくて二百歳まで生きそうよ。困るわぁ」

ピーッという高い電子音で炊き上がったことを知らせる炊飯器をおばちゃんが開けると、なかから湯気が逃げ出してくる。