最後、バカにしたように笑った女の子に、大地はしばらく黙った。
なんだか嫌な予感がして、聞き耳を立てながらひとりハラハラしていると『急に黙っちゃって、どうしたの?』と、女の子に先を促された大地がようやく口を開く。
『――わかった』
冷たい、刺さるような声だった。
『え?』
『金沢がどういう考え方なのかはわかった。だから明日からはもう送らない。本気で怖いなら別のヤツに頼むか、家族に言って迎えにきてもらえ』
きっぱりと告げた大地に、女の子は『え、なんで……』とわずかにうろたえた声を出す。
おろおろしているのが見えるような声だった。
『男に力づくで押さえつけられてどれだけ怖かったか、金沢も女ならわかるだろ。だからストーカーが怖いって俺に送らせてるんだろ。なのに〝自意識過剰〟なんてよく笑って言えるな。呆れる』
『ま、待って、私別にそんなつもりじゃ……』
『金沢がどんなつもりでも、もう関係ない。自分はいいけど他のヤツは大事にして欲しくないとか、そんなヤツのわがままには付き合えない。俺は、姉ちゃんとかばあちゃんが大事だし、男は俺ひとりだから守ってやらなきゃとも思ってる。それを気持ち悪いと思うならそれでいい』
『待ってよっ、言い方が悪かっただけで、私……』
『金沢にもしもなにかあったら可哀相だと思って心配して送ってたけど。少しも伝わってなかったんだな』
最後『気を付けて帰れよ』と告げた大地に、女の子はもうなにも返さなかった。



