『付き合ってもいないのに金沢のこと優先させなきゃいけない理由なんてない。それに、大事な用があるって何度も言っただろ』
『大事な用って、家のインターホンがどうとかってやつでしょ? 別にそんなの大地がいなくたっていいじゃん。お姉さんひとりで対応できないの? 大地、この間だってお姉さん見かけた途端、そっち行っちゃうし』
話の内容から、やっぱりこの間見かけた子だと確信する。
付き合ってはいないにしても、女の子が大地を好きなのは、今、この会話を聞いているだけでも伝わってくる。
たしかに、この間も女の子を放ってこっちにきちゃってたし、女の子からしたら気に入らないだろう。
工事の立ちあいを一緒にっていうのは、大地が言いだしてくれたことだけど、遠慮するべきだったかな……と考えていると、大地が言う。
『昨日、この家でなにがあったか話したよな? 姉ちゃんが危なかったって。警察呼ぶようなおおごとになったって話しただろ』
『聞いたけどさぁ。インターホンつけるのって業者じゃん。大地まで家にいる必要なくない?』
大地は真剣な声で、女の子は半分怒っているような声で会話が続く。
『業者が男だったら、姉ちゃんは工事がおわるまでそいつとふたりきりになる。仕事できてくれるんだし業者を疑ってるわけじゃないけど、それでもそういうの、女だったら怖いってわかるだろ。昨日、襲われたばっかなんだから余計に』
『そんなの考えすぎだって。なに? もしかして、お姉さんに家にいてほしいとか言われたの? お姉さん、ちょっと自意識過剰すぎない? 私が言ってあげようか。大地に甘えすぎだって』



