おばあちゃんをゲートボールに送り出してから、部屋の掃除を済ませる。フローリング部分や階段、ドアと、とりあえず目についた場所を水拭きして回っていたら、いつのまにか着ていたTシャツは汗で湿っていた。

湿っているというよりも、もう濡れているといった方が正しい水分を含んだTシャツを洗濯機に突っ込み、そのままシャワーを浴びる。

夕飯の材料はそろっているし、今日はこのあと出掛ける用事はない。
でも、伊月がお昼前に顔を出すかもしれないっておばあちゃんが言っていたなぁと考えながら、Tシャツとショートパンツに着替え、洗ったばかりの髪をわしわしとタオルで拭く。

ちゃぶ台の上に置きっぱなしだった携帯を確認すると、佳乃から三日前に紹介してもらった男性からメッセージが入っていた。

『いいヤツだし、おすすめだよ』と勧められるまま、メッセージアプリで繋がったその人は高田さんという、ふたつ上の社会人。
何度かメッセージを交換する中で、公務員をしていることと趣味がフットサルってことを聞いた。

私も、社会人ということや、今、帰省していることを話して、数分前に届いたメッセージは〝帰省はいつまで?〟という疑問文だった。

私が返したメッセージにすぐ反応をくれることは、たぶん、ありがたいことなんだろうし嬉しいと思わなければならないんだろうけれど……普段からあまりポンポンメッセージのやり取りをしないだけに、レスポンスの速さには正直、少し困ってしまっていた。

せっかく佳乃が紹介してくれたっていうのに、ちっとも踊らない心にはもっと困っているけれど。