「姉ちゃんは我慢したり溜め込んだりしちゃうから、そういうの全部、遠慮なしに吐きだせるような相手がいいと思うけど。器がでかくて、なおかつ友達みたいな気安い関係が築けるような」

まぁ、大地の言うことも一理あるかもしれない。
今までは、わがままを言えなかったせいで結局都合のいい女にされちゃったわけだし、私自身それだと苦しい。

今までみたいに一方的に利用されるような関係じゃなくて、もっと対等で、もっと素直になんでも口に出せるような人が――。

……と、そこまで考えて頭のなかにポンッと伊月の顔が浮かぶ。

偉そうな笑みを浮かべる伊月に、なんで……とポカンとしてしまっていると、横から佳乃に呼ばれるから、慌てて笑顔を作った。

「この人とかどうかなって。顔もまぁまぁだし、スポーツやってるから体ガッチリしてて――」

せっかく佳乃が説明してくれているっていうのに。

頭の中から伊月が消えてくれないせいで、ほとんど耳に入ってこなかった。