ずいぶんなことをハッキリと言われ、思わず苦笑いをこぼす。

まぁ、今回のことで私もこりて自分の恋愛オンチっぷりを少なからず自覚したし、大地も佳乃と似たようなことを言っていたし、そういうことなんだろう。

でも、どうしても相手の重荷にならないように……というのが一番にきてしまうのはどうすれば直るのだろう。

家族以外、誰にでも発動してしまう悪いクセは直そうと意識したところで直せない。

佳乃相手でも、こんな風に気を遣うことなく話せるようになるまで数年がかかったくらいだ。
なにを話しても大丈夫なんだと私が安心できたのは、佳乃の飾らない性格があるのだと思う。

なんにせよ、今の関係は佳乃のおかげだ。

でも、だったら恋人相手でも、数年かければ遠慮なく接せるようになるのだろうか。
そんなことを考えて、あれっと思う。

だって私、伊月相手には普通だ。出逢い方がああだったからか、あっちがあまりにズカズカ内側まで入ってくるからか、私も伊月に対しては気を遣ったりしない。

今の発言は少し配慮にかけたかな、とかいつもだったら考えるようなことでも、伊月相手には好き勝手言いたい放題だ。

それはたぶん、私の気持ちがどうこうってわけではなく、伊月の性格や雰囲気のせいなんだろう。パッと見怖いけれど、親しみやすさがたしかにあるから。

出逢って五日しか経っていない相手を信頼しているなんてどうかと思うけれど、でも、そういうことなのかもしれない。
伊月はああ見えてしっかりしているし器も大きい。だから、大丈夫だと思える。

人の心のなかにスッと溶け込めるのだからすごいな、と感心していると、パスタを完食した佳乃がフォークを置く。