その角度に危険を感じた。


私は今度こそ触られるんじゃないかと思って、とっさに胸を守った。



「どこ守りに入ってんだよ」


花平くんの手は私の髪に触れていて。

恥ずかしい勘違いをしてしまった。


毛先をつまんで、指先でいじりながら「このままでいい」と言われる。


「ええ、一生黒髪ですか?」

「もったいねーことすんなよ」


「それ花平くんが言うんですね」


もとは自分も黒髪だっただろうに。



「いいんだよ、俺は」


かすかな笑みをうかべて、私の髪に指をさらりと通した。



……ねぇ、いまどんな顔をしてると思う?


誰が見たってわかるような、むりやり押し出した作り笑いしてる。


花平くんっぽくない弱々しい笑顔。