「人間って話すときに72種類も筋肉を使ってるらしいですよ」

「へー」

「花平くんはきっと8種類くらいですね」

「なめてんのお前」


買い物も終わり、商店街を歩いているとき。


花平くんがいきなり立ち止まった。


そして横にさっと伸ばされた腕に、反応が遅れて顔から衝突してしまう。



「ぶっ……花平くん?」


赤くなった鼻をさすりながら彼を見上げる。



花平くんの視線の先にいるのは、見知らぬ男の子たち。


色とりどりの髪色に、
これでもかと着崩された制服。


そして……趣味の悪いドクロのアクセサリー。

腰にじゃらじゃら付けられた謎のチェーン。



その人たちがなんなのか私は一目でわかった。


……不良だ。

まごうことなき不良だ。


しかも花平くんのことを知ってるみたい。

もしかしてお友達?