『徹さん、聞いて。どのみち私はもう助からない。
これは医者として言ってるの。
助かる可能性のある命を優先しなさい。
あなた、医者としての本分を忘れたなんて言ったらぶん殴るわよ。
なんて、どう?
私だって医者らしいでしょ。
あはは、君は医者だろって?
うん、そうね。だから今言ったのは全部事実ってこと。
ねぇ、あなた。
綾人の人生を決めていいのは、あなたでも私でもないわ。
誰だって、自分の人生は自分で決める。そうでしょう?
綾人の人生も綾人が決めるのよ。
ほら、この子はこうして生きようとしてる。
必死に生きようとしてるじゃない。
それを止める権利は誰にもないと思わない?
あと、わがまま言ってもいい?
あなた、まだ若いんだし……いや、まだ何も言ってないでしょ。
嫌だ?君以外考えられない?
公衆の面前で照れるなぁ。
でもあなた、その選択肢もあるってことを覚えておいてね。
……うん、わかったわかった。もう言わない。
徹さんは私の代わりに老死してね。約束だよ。
……愛してる。今までも……これからも、ずっと』
いつだって私は、近くで見守ってるからね。



