「おっ君かわいいねーどこのコスプレ喫茶?」
「や、これは劇の衣装でして……」
「劇?行く行く!何時から?」
「ごめんなさい、もう終わりました……」
一人で歩いているとキャッチャーと勘違いされる。
何度目かの台詞を繰り返し、すでに疲労こんぱい。
それにひとりだと行きたいところもないし、ミスコンの会場もわからなかった。
気付けば私は、自分の教室にいた。
うちの出し物は劇だから、もちろん教室も使わない。
床に置かれた小道具や衣装から、劇が終わったことをあらためて感じる。
イスを窓際まで引っ張っていって、腰かけた。
あ……なんか座ったの久しぶり。
ほっと息をついて、開け放った窓の上で腕を組み、そこにあごを乗せる。
広場には多くの出店がひしめき合っていた。
こうして窓を開けていれば、いろんな食べ物の匂いがまざって鼻先をくすぐる。



