不器用オオカミとひみつの同居生活。



私に腕をからめたすうちゃんが歩き出そうとしたときだった。



「そ、そういうわけには……いかんのですっ!!」

「えっ、はあ!?何すんの!?」


また新たな刺客、ガタイのいい男の実行委員らしき人物がすうちゃんを担ぎ上げた。



「すみませんご友人の方、蘆田すみれさんをお借りします!」

「あ、ちょっ……」



ぺこーっと頭を下げられ、有無を言わせず走り去っていった実行委員のみなさん。




「いやあぁ!マッスルーー!!」

すうちゃんの悲痛な叫び声が、騒がしい校内にかき消される。


そのうちすうちゃんの姿は見えなくなって。


私はがやがやとした廊下で、ただひとり残されたのだった。